one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

レインメーカー

三時頃目が覚めました。

見ていた夢の内容が、

ずいぶん昔に見たものと、

繋がっている夢を見ました。

なんだか変な感じです。

同じ、とか、続きではなく、

同じ時系列を流れる夢を見たのは初めてで、

これからもこんなことがあるなら、

危ない気がする、と思いました。

もう一度眠剤を飲んでみます。

これでおそらく、

五、六時まで眠れるはずです。

四時頃、眠たくなってきたので、

ぼーっとする頭をタオルに押し付けて寝ます。

もう扇風機はいらない程涼しかったのですが、

どうやら消してはいなかったようで、

一定のリズムでそばにある、

夏の音を聞きながら寝ていました。


予定より大分早く起きてしまいました。

仕方が無いので大好きな曲を聴きながら、

冷蔵庫の中を見に行きました。

まだ暗い部屋の中で冷蔵庫のオレンジの光が、

ぼんやりと広がります。

コーラがあったので飲みました。

しゅわしゅわ弾ける元気な飲み物です。


部屋に戻って、財布をとりました。

寝癖直しは、甘い匂いがします。

家から出ると、

まだまだ暗い道を歩いていきます。

イヤホンからは、

FoZZtoneレインメーカーが流れています。

今日は雨の予報です。

湿った空気に、パーカーのフードも揺れません。

なぜかいくら開けても痛くないピアスを、

指でくるくる回しながら歩きました。

友だちからは無痛症と笑われます。

あまりにも痛くないので、

私も少し心配してみたりしています。

きっと水曜日には猫のピアスが届きます。

友だちと半分こしようと話しました。

届くのがとても楽しみです。


線路の近くまで歩いていくと、

雨が降り出しました。

少しずつ強くなる雨に、

さっき、振りまいてきた甘い匂いが溶けていきます。

傘も持っていないので、帰る頃には、

すっかり雨の匂いになっているはずです。

私は、まだ始発も通っていない線路を横断して、

どんどん歩きます。

曲は何曲か進んでいて、いまは英語が聞こえます。

「メイビーメイビー」

カタカナ表記で私も歌います。

多分、大丈夫だよ。多分。

理由は分からないから絶対じゃないけれど。

きっと、多分ね。


携帯が友だちの眠れないというメッセージで光ります。

私もだよ。眠れない。

でも大丈夫だよ。私も、友だちも。

友だちはアイス食べることにしたみたいです。

私もゼリーが食べたいので帰ることにします。

「メイビーメイビー」

こんな時間に甘いものを食べるけど、

それもきっと大丈夫。


雨の匂いを思いっきり吸い込むと、

線路も田んぼも飛び越えて、

走っていけるような気がしました。