one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

2018-01-01から1年間の記事一覧

それから

サヨナラができない。引越しを決めても、優しく正しい人達に褒められても。いちばん駄目だった頃の私を、毛布でくるんで、綺麗なことろへ連れ出してくれた人だから。その人の目的が、とても冷たくても。手が暖かいと教えてくれたのはその人だったの。ねぇ、…

初夏へ

来月にはもうここにいないとを知っているから、どうしても何を見ても悲しくなってしまって。駅からの帰り道、泣きながら家に帰った。私は何か大切なものを無くしてしまって。もう取り返しがつかないのではないかって、

さてと一言前置きを

昨日の夜の話から。まあ、日付なんかの正確性は誰も彼も曖昧なんだから意味をなさないということ。要は、みんな結局寂しいよねという感じだ。好きだった人から連絡が来た。本当に好き「だった」という感じになってきて、体良く躱すのは良心の呵責で体が軋む…

鉄塔を見上げる日の風の温度

鉄塔と、背の高い真っ直ぐな草曇ガラスから零れるオレンジより濃い赤の夕焼け据えたタバコの匂いが染み付いたスタジオ自動販売機の明かりと水滴のついたコーラその場所に風が吹いていたか想像すること。そして、そこに存在してみること。

セーターと桜

セーターを着て、ホットコーヒーを飲んで、電車に乗りこんで気がついた。車窓には桜が映り込み、揺られる人は皆、一様に衣替えを済ませていた。毎年の事だけれど、人一倍寒がりな私は衣替えが遅れる。ふとした時に気がつくと、それがひどく恥ずかし事のよう…

いちごと食事

いちごばかり食べているなんて言えば、視覚と寓想だけで食事をしていると揶揄されそうなものだが、どうしようもないのが現実だった。いちごは可愛いものではなく、美味しいものではなく、特別なものであるだけのような気がしている。日々の生活の中の、少し…

追慕

私はすぐに泣く。じっと感情を抱きしめていることが出来ないから、すぐに手放して蒸発させてしまう。春になることが予測された頃、つい先週のこと。職場の先輩の部屋で好き勝手くつろぐ私に、「ギター、今日は持って帰るといいよ」私は何気なく頷いて返事をし…

存在としての不安

いつから、いつからだろう。父親がわりに年上の人とばかり関係を持ったことも。信頼していた人が結婚してしまったことも。大切な友だちをどこか遠くに感じるようになったことも。手首を切らなくなった私は、また、後戻りすることなどないと過信していた。本…