one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

吐息

私は友だちの横顔を見ていた。
すぐ近くにいるけれど、
彼女がもう、とんでもなく遠い場所にいることを、
私は諦めながら理解していた。
煙草を吸う横顔は、いつ見ていても綺麗だった。
多分どんなに傷つけられようと、
許してしまうような、少し怖い美しさ。
「ナナみたいだね」と私は言ったと思う。
友だちはふぅと煙を吐いた後、少し笑った。

私はいつも寂しい。
それでも、この友だちのこと、
大好きだなぁと思う。
バイバイと言う時、息が白くなっていたこと。
きっと私しか知らない。