one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

朝の光と

ランディー・ローズが、お兄さんのiPadから流れていた。

テーブルの上に並ぶ空の缶ビールは何本になっただろう。

カーテンの隙間から仄かに薄くなるブルーが覗いた。

ギターケースの上で、小さな紙の切れ端に、注意点が書き込まれていく。

和紙のような質感。

お兄さんの持つペンからインクが染み込む。


私はポッキーを食べ、お酒を飲んでを繰り返していた。

とても眠たくて、

それでも、まだ寝ずにいたいという子供のような意地だけで起きていた。

私もお兄さんもまぶたが重たい。

それでも、ふらりと立ち上がると、

お兄さんの手には、また、缶ビールがあった。

グラスに半分ずつ注いで、飲む。

眠たいのか、酔っているのか、

世界はとても朦朧としていて、少しだけ死んでいるみたいに穏やかだった。