one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

金魚の風鈴の日

私は、よく行くお店で、

ずっと欲しいと思っている、

金魚の風鈴があります。

薄いガラスの中に、

一筋の青とともに閉じ込められています。

私はそばを通る度に、

私の部屋でゆらゆらと風に揺れるところを、

そっと想像してみます。

しかし、いつも吊るされているだけ、

音をきいたことはありませんでした。

その風鈴が、今日、初めて揺れていました。

どうやら、お店のクーラーの風力が、

「強」に設定されていたせいのようです。

暑くなれば、熱くなるほど揺れる金魚。

クーラーの冷たい風と、

涼しさを連れてくる、ささやかな音。


お店から家に帰って、

夜になるとお姉さんと電話しました。

電話の向こうで泣いているのがわかったり、

とても会いたくなりました。

みんな、色んなことで悩んでいて、

考えることができるのは、

果たして幸せなのか少し、

考えさせられてしまいます。

お姉さんの泣き声をきいていたら、

どんどん私まで悲しいことを思い出して、

最後は、もうだいぶ前に会えなくなった、

祖母のことを思い出したりしていました。

別れ際に、今度会おうと約束しました。

カラオケは大好きです。

お姉さんの歌も好きなので、

とても楽しみだとおもいます。


しばらくしてから、

なぜか最近効かないハルシオン

マイスリーを2つほど、

勝手に足して飲みました。

窓際に、金魚が揺れるところを想像します。

調子がよければ、もうすぐ眠れるはずです。