きらきらの中に

日記とか考えていることとか

寂しさを埋め込まれた

カラーコンタクト越しの瞳を至近距離で見つめる。
何度も脱色と着色と黒染めを繰り返されて乾燥してる髪が寂しい。
きらきらと明るい色が光る後ろには、私と同じ黒い瞳が透ける。
ふうっと、いたずらに息を吹きかけられて、私の前髪がふわりと動く。
薄暗い部屋は、全体的に青紫色。
私が青で、あなたが紫で、多分それらが少しずつ滲んでいる。
さみしさに溢れそうな涙を、二人でふぅふぅと乾かしては笑う。
もう何も失いたくないような、
切迫した祈りを捧げた私たちは、二人だった。
ドクターペッパーの飲みかけの缶を蹴倒しても気にしなかった。
炭酸が溢れ、はじけては消えていく音。
次第に近く聞こえるあなたの心臓の音。
どうしても怖くなる未来から、
裸足で逃げ出してここに隠れ住んでいる。

窓から流れ込んでくる金木犀の香りに怯えてしまうような繊細さで、
真夏の花火の炸裂音に心を持ち出されそうになる私たちは、季節を過ごすことすら難しくて、空白の季節を埋めるすべすら持ち合わせない。
コーヒーの湯気だけ暖かい。
そんな朝を知らないから、私たちはずっと泣いている。
廊下を誰かが通って、
私たちに気づいてUターンする足音。
クスリと笑うと、またキラリと光った。
遠くなる足音に、あぁ、〇〇さんかなと見当をつけて、少しいたたまれなくなった。
私の手首から、サイズの大きいブレスレットが流れ落ちる。
ゴトリと音がして、冷たいフローリングに少し小さな傷が付いた。
あなたはそれを取り上げると、
私の目の前で揺らす。
私はそれを受け取って、もう1度手首に通した。
冷たい床の温度をふと感じてしまい、
あなたの体温で消していく。
嫌そうな顔一つせずにふふふと笑うから、
安心していられるのかもしれない。
ふぅっと息を吹きかけられる、
私も吹き返す。
煙草の香りは別に気にならない。
ずっとこの匂いのそばにいたいと願う。

隙間にあるもの

寂しさの隙間を、ありありと突きつけられることがある。

夏休みの夕暮れに、電気をつけ忘れて本を読みふけっていたあの時。

辺りの暗さに気づいて、ふと外に目をやる。

そして、次の瞬間、本に目を戻した時、読めていたはずの文字は、すっかり闇に紛れてしまい、見えなくなっているのだ。

手元にある物語から強制的に引き離されてしまい、それでいて、我に返るには、頭が上手く動いていない感覚。

蝉の声もなりやんでいて、隣の家から聞こえる、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。

すぐ側の机に手を伸ばし、水滴で濡れたコップを持ち上げると、カラリと氷が鳴った。


私はあの時ほど、寂しさの隙間に嵌って動けなくなるような経験はないと思っている。

今の私の日常は、音に溢れている。

隣の家の笑い声を気にせずとも、スタジオに行けば、たくさんの人と笑い合って話が出来る。

友だちと喫茶店に行って、メロンクリームソーダを飲めば、暑さも嫌いではなくなるような気がする。


それでも、あの瞬間が、時々帰ってくる。

そして、その時私は、ある種の懐かしさを感じてしまう。

毎日悲しいし切ないのだけれど、夏は、よりいっそうだ。

死が一番近い季節。

夏休み、最後の日に死んでしまう人たちは、

8月32日へ向かっているのだろうか。


いつかの下書き

透明なビニール傘に、叩きつけていくような雨。
好きな人からのメッセージ。
夜中に折り返された、お兄さんからの電話。
もっと頼ってくれていいよと言われ、
泣いてしまいそうな気持ちになる。

反射板だけが頼りの、真っ暗な道を走ったこと。
港について、あまりの潮の香りに、驚いたこと。
月が出ていたこと。
好きな人はカフェイン中毒気味。

お兄さんと朝まで飲んで、楽器屋さんへ行く。
ジャズマスターは、やっぱり素敵だ。
SUM41聴きながら、バイト、サボることを勧められた。
このまま中古屋さんで、ギター巡りするという案。

ドライブ

夜中の1時過ぎ、コンビニでアイスキャンディーを買い、携帯を見ながら好きな人を待つ。
七月だというのに、全く暑くなくて、
私は白いレースのノースリーブ姿だったのだけれど、少しアイスを買ったことを後悔していた。
急いで食べなくても、溶けてしまわないのは良いことだったけれど。
ようやく到着した好きな人はアイスコーヒーを買っていた。

お邪魔しますと言って、車に乗り込む。
車が動き出し、流れてきたのはBullet for My Valentineのアルバムだった。
そういえば、私はしばらくの間Bullet for My ValentineMy Bloody Valentineを混同していた気がする。怒られそうな話なので、言わなかったけれど。

車は西へ向かった。
目的地が決まっていないのはいつもの事で、
そのまま1時間くらい走ったように思う。
いつの間にか、海の見える街に着いていて、それでも私たちは海へ行かずに、流れていた曲をDragonForceのものに変えて、来た道とは違う道を選んで東へ向かった。

途中でコンビニへ寄った。
「一旦休憩!」との事だった。
温かいお茶を買ってもらった。
好きな人は、またしてもアイスコーヒーを買っていた。
昼間のお仕事をしている人なので、眠たいのかもしれない、と、昼夜逆転している私は想像した。
お店の前の灰皿の横で蹲ってお茶を飲みながら、煙草を吸う好きな人を盗み見た。
そして、少しだけ溜息をついた。
「煙草、やめたの?」と聞かれて、「最近全然吸ってないですね〜」って嘘をついた。
そのうちきっとバレるけど、なんとなく。

休憩を終えて、私たちは山へ向かった。
いつもの場所へ。
車内のBGMは、私の好きなFINCHになった。

梅雨の時期にも関わらず、雲の切れ間からは星も見えた。夜景はいつも通り綺麗だった。
虫の鳴き声とか、風とか、私はその場所にある全てが大好きだった。
いつか死んでしまったら、お化けになって、
いつまでもそこでのんびりしていたいと思う。

好きな人は、いつも私の髪の香りを嬉しそうに褒める。
そのせいで、私は、少し高いそのトリートメントを買い続けてる。
私は、安っぽいキャンディみたいだなぁと思うのだけれど、喜んでくれるのなら、良いかな、と思っている。

その後、結局送り届けてもらったのは7時前になっていた。
空は朝の色に変わっていたし、コンビニには出勤前の人たちがいた。
ビタミン入りのジュースを買ってもらったので、それを飲みながら、眠たいなぁと思った。

隕石が落ちてくる街を眺める話

わざと、真っ暗にしてる部屋の中。

パソコンの明かりは薄らと私を照らしていた。

SLAYERとMEGADETHのCDをウォークマンに入れる。

午後の紅茶シトラスティーが、ひたすらに甘くて、辟易としていた気がする。

読み込み中という文字をパソコンが表示している。

時間がかかりそうだったので、適当なスープを冷蔵庫から取り出して、電子レンジにかける。

残り時間のカウントダウンをぼうっと見つめていた。

多分残り25秒くらいだったと思う、私の携帯から、けたたましく鳴り響くNIRVANAの着信音。

画面には好きな人の写真が映し出されている。

電話に、少し震えそうな声を、必死に抑えて応じる。


「元気にしてたー?」

どうやら、私のバイト先に行ったものの、既に私は退勤していた後だったので、なんとなく気になって連絡してきたらしい。

どんな流れか、夜景を見に行くことになる。

紺色のワンピースに、灰色のカーディガン羽織って家を飛び出した。

携帯の充電は16%だったし、パソコンは放ったらかしにしていた。


私たちは、無事再会を果たして、北へ進む。そして突き当たった山をどんどん登って、神社のような場所に出る。

車を降りた私たちは、ほぼ同時に空を見上げた。

星が降るような夜、とはよく聞くけれど、

そんな夜だと思った。


好きな人は、私のことが心配で仕方が無いと言う。

過保護になりすぎてしまいそうだと。

私は言う、

「なんとかやっていっているではないですか。これでも、頑張っているのですよ」と。

好きな人は少し困った顔をしながら、そうだねぇ、なんとか頑張っているのはよく分かるよと、小さな声で呟いた。


私たちは手を繋いだまま、夜景をぼうっと眺めた。

夜景は綺麗で、夜行性の私たちのような人たちの存在が、沢山あるのだなと思った。

そんなことを考えていたら、唐突に好きな人が口を開く、

「本当に、星が降ってきたら。とか考えてしまわない?」

私は、夜景から目をそらさずに答える。

「それを、真剣に考えてしまうと、たくさんの隕石襲来で大パニックですね。」

目を伏せてそれへの返答。

「うーん。まず街は燃えてしまうだろうねぇ。ここは大丈夫だといいな」

好きな人の方へ向き直る私の言葉。

「今日、ヒールを履いてきてしまったので、できればスニーカーが良かったですね。あちこち歩き回って、必要なものを探したりしなければならないでしょう」

ああ、本当に、今この瞬間、私たちが住む街が終わっていくのを見たかったような気がした。

この場所はとても素敵な場所なので、燃えたりしないでしょうし。

眠る前の考え事

誰もが目をそらすようなこと、

例えば道の上で動かなくなった猫とか。

昨日そういえば、お兄さんと二人でいる時に見かけたのだけれど、

二人して、斜め前の学習塾の看板を必死に見つめて、目をそらしたりしていた。

信号待ちの間、ずっと見ていたのに、塾の名前すら覚えてない。

意識は、そちらに行っていたんだろうな。

同じトンネルを、2度も潜ってしまうミスとか。

静かだったから、それらを考えていた。

今、私の目の前、甘夏がころんと転がっている。

DAHLIA

少し遠くの町のスタジオまで出掛けた。
お兄さんは少しお酒を飲んでいた。
いつか、DAHLIAを弾けるようになろうねと言われた。
帰りの車の中で聴かせてもらった。
とてもかっこよくて切なくて、素敵な曲だと思った。
その後、お兄さんの家にギターを置き、
ラーメンを食べに行った。
とても美味しくて、楽しかった。

今、家にひとりで斜陽を読んでいる。
なぜかお昼頃起きてくると、誰もおらず、
リビングにぽつんと1冊取り出して置かれていた。
それを読みながら、ふと、iTunesDAHLIAを買ってみたりした。
昨日のラーメンのためか、三時をすぎてもお腹が空かない。
このまま、仙人のように暮らしたいとさえ思う。
バイトに行くのが酷く苦痛だった。
でも、昨日の話を思い返す。
お兄さんの職場も、相当大変な様子。
私も、頑張ろうと思う。
さっき飲んだコーヒーで胃が痛い。
私は、そこかしこ欠陥していて、なんだか自分でも嫌になりそうだった。