one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

ドライブ

夜中の1時過ぎ、コンビニでアイスキャンディーを買い、携帯を見ながら好きな人を待つ。
七月だというのに、全く暑くなくて、
私は白いレースのノースリーブ姿だったのだけれど、少しアイスを買ったことを後悔していた。
急いで食べなくても、溶けてしまわないのは良いことだったけれど。
ようやく到着した好きな人はアイスコーヒーを買っていた。

お邪魔しますと言って、車に乗り込む。
車が動き出し、流れてきたのはBullet for My Valentineのアルバムだった。
そういえば、私はしばらくの間Bullet for My ValentineMy Bloody Valentineを混同していた気がする。怒られそうな話なので、言わなかったけれど。

車は西へ向かった。
目的地が決まっていないのはいつもの事で、
そのまま1時間くらい走ったように思う。
いつの間にか、海の見える街に着いていて、それでも私たちは海へ行かずに、流れていた曲をDragonForceのものに変えて、来た道とは違う道を選んで東へ向かった。

途中でコンビニへ寄った。
「一旦休憩!」との事だった。
温かいお茶を買ってもらった。
好きな人は、またしてもアイスコーヒーを買っていた。
昼間のお仕事をしている人なので、眠たいのかもしれない、と、昼夜逆転している私は想像した。
お店の前の灰皿の横で蹲ってお茶を飲みながら、煙草を吸う好きな人を盗み見た。
そして、少しだけ溜息をついた。
「煙草、やめたの?」と聞かれて、「最近全然吸ってないですね〜」って嘘をついた。
そのうちきっとバレるけど、なんとなく。

休憩を終えて、私たちは山へ向かった。
いつもの場所へ。
車内のBGMは、私の好きなFINCHになった。

梅雨の時期にも関わらず、雲の切れ間からは星も見えた。夜景はいつも通り綺麗だった。
虫の鳴き声とか、風とか、私はその場所にある全てが大好きだった。
いつか死んでしまったら、お化けになって、
いつまでもそこでのんびりしていたいと思う。

好きな人は、いつも私の髪の香りを嬉しそうに褒める。
そのせいで、私は、少し高いそのトリートメントを買い続けてる。
私は、安っぽいキャンディみたいだなぁと思うのだけれど、喜んでくれるのなら、良いかな、と思っている。

その後、結局送り届けてもらったのは7時前になっていた。
空は朝の色に変わっていたし、コンビニには出勤前の人たちがいた。
ビタミン入りのジュースを買ってもらったので、それを飲みながら、眠たいなぁと思った。