one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

ベランダと洗濯機

季節は3月の初め、気温は2度前後だった。

コンビニから買ってきたビールと缶チューハイを持って、ベランダへ出た。

暖かい部屋にいた私たちの息は白く染まる。

そのうちタバコを吸いだしたので、息が白いのか、煙草の煙が白いのか分からなくなってしまった。

窓ガラスの向こうから、ガウンガオンと洗濯機の回る音がする。

私は、寒いのに何でこんなことをしているのだろうと思いながらチューハイを飲んだ。

見上げた空には、探せば見える程度の星があった。

私の飲み干したチューハイの缶に、吸い終えた煙草を入れる。

くだらないこと。

全ては、余興にすぎない。

寒い中、晩酌をベランダでやることはもうないかもしれない。

だから、今日くらいは、と思った。

新聞屋さんを眺めるまで、何でもないことを話していた。