朝日が登る前の薄明かりの中、
長い長い廃墟の階段を上がった。
所々錆びている手すりが手ひらに小さな傷をつけていく。
携帯がなっていた。
この世の終わりみたいなけたたましい音量で鳴らす、ニルヴァーナの着信音。
私はそれを無視して、
ひたすらに階段を登った。
登りきった頃、朝日が街を照らしていた。
多分全てが終わっていた。
私は何だか凄く穏やかな気持ちで眼下に広がる景色を見た。
朝焼けが強くて、全てがほのかな黄色に染まっていた。
風がちょうど良い温度で私を包み。
全てを諦めきった私は、
そこからふわりと足を滑らせる。