one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

約束

今後お互いが音楽してたらまた同じステージに立とうね

私の携帯に表示されたメッセージ。
先輩からだった。
静かで、責任なんてどこにも無くて、
確定していない未来に向けられた言葉。

それでも、芯の通った一文で、背筋を正される。
この人は、いつだって絶対とか、
無意味に安心させるような言い方をしない。
今回もそう、
今後、先輩も、私も、音楽を続けていたら、という仮定の上の約束。
私たちは、音楽を続けてくれと頼まれる訳ではない。
そもそも頼まれてやってる音楽なんて、どれほどのもの。
好きだから、しがみついているだけなのだ。
約束の仮定が、どれほど不安定で、危うい確率なのか。
たくさんの人が始めるし、殆どがステージに登る前に歩みを止める。
ステージ上の輝かしい人だって、
年齢に伴って、仕事とか家庭とか、そんなものに少しずつ蝕まれて姿を消していく。
その中、私たちが、もう一度同じステージに立てる確率に掛ける。
もう一度と、呟いた。
マイクを通していない声は、
私一人に向けられていて、ぐさりと刺さった。