one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

1年の始まりの夜に

行き交う人。
賑やかな屋台。
寒くはなかった、あちこちから湯気。
笑う人々の口元も白く霞んでいる。
忙しそうな巫女さんたち。
どこかのテレビ局のカメラ。
隣で、彼氏の愚痴をこぼす友だち。
全てが愛おしくて、
全てが今にも無くなってしまいそうで、
私はしゃがみこんでしまいそうになる。
蹲って、きらきら光るこの光景から、
目を逸らしそうになる。
それでも、私はここに立っていた。
お参りをして、おみくじを引いて、
無愛想なお兄さんが焼く焼き鳥を食べたり、
お茶を飲んだり、お餅を食べたりした。

ここから始まるのだと思った。
友だちが、焼き鳥を二本同時に食べているのを見ながら、
泣きそうになった。
遠くへ行かないでほしい。
それだけをずっと願っていた。

2人でお守りを買った。
私たちのことを、どうか守って。

始まったばかりの今年が、既に愛おしくて仕方がない。

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