one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

痛み止め

桜を見上げる春が過ぎて、

雨を睨む梅雨を明けて、

花火を見あげた夏が終わり、

雪を望む冬になった。


季節は巡り、

お気に入りのもの達は、

少しずつくたびれていく。

体重は何故か10キロも減った。

安定剤も眠剤も、

もう多分使うことは無いんだと思ってる。


一年前の春の日、

あなたの言っていたことが分かった。

いつか、誰かに恋をして、

その時、昨日のことを思い出して、

怖くなったりしませんようにと。

そう言って、一晩中車の中で話をしてくれた。

音楽を教えてくれた。

綺麗な場所で、もう大丈夫だよと言ってくれた。

全部嘘でも、全部宝物だった。

魔法にかけられただけの、がらくただとしても、

そこに少しは優しさがあったと信じて。


今日ふと、あの日のことを思い出した。

偏頭痛が酷くて、痛み止め飲みに行く途中。


許されたい。

こんな自分でも、どうか。