one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

戸惑いへ

誰か知りませんか?

夜明け前、夜ふかしの後、

うっかりしていたうたた寝から覚めた人、

車のドアを開いて、

ひんやりとした空気に驚きつつ、

しんとした空の紺色を、胸いっぱいに満たす時。

ふと息をつき、車の中には、

隣心地よい人が寝息を立てていて、

今登ろうという朝日に少し目を険しくしかめている。

首元に揺れるのは、

大切な人からの贈り物。

人生の四分の一を一緒に過ごしている。

今頃どこで何をしているのだろう。

登り始めの太陽か、眩みかけの月にきらりと光った。


好きな人とドライブした日、

ギターのお兄さんと一晩中話して夜を明かした日、

友だちと外で楽器の練習していた日、

私の中にはたくさんの夜があって、

昼間より眩しかったりする。