one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

淡水の世界から

先日から続く鬱状態は未だに尾を引いています。

引き金となった出来事は、まあなんとなく分かってる。

一人ぼっちにされたような気がした。

本当に怖くて寂しい。

誰かに傍にいてと願うのに、

誰のことも気遣えない状態の自分が怖くて、

誰にも近づけなくなっていく。


窓の外が薄ら明るくなっていく様子を見つめながら、

効かなかった眠剤とアルコールの缶を捨て、

お気に入りの煙草を取り出した。

私の寂しさは煙のように溶けて消えず、

残り香のようにしつこくまとわりついていた。


この世に生まれてくることは、

淡水の魚が、大きくて綺麗で残酷な海に放たれるようなもの。

塩水の中で一瞬のうちに息絶える。

でも、その苦しみの中の一瞬で、

怖いほど美しい海という世界を見る。


今日はスタジオ。

お気に入りのキャミソールとロングスカート、

着心地最高のパーカーを身にまとい外に出た。

午後7時。


コンクリートに残る熱を、

サンダル越しに感じる。


家の中からは弟の先生の声。

不登校の弟に、

なにやら必死に話しかけてる。

この先生の声、好きな人と似ている。

もう少し聞いていたい気がしたけれど、

遅刻してしまっては申し訳ない。

昨日ほぼ徹夜で練習したアルペジオ

きっと弾けると自己暗示。


スタジオにつくと、イベンターのお兄さんと、

ギターのお兄さんが話をしているところでした。

なんとなくそこに混じって話を聞いていました。

ここにいる人たちの話は、

なんでいつもこんなに面白いのかな。


練習始まって、

T.Rexのイントロ弾いたり、

課題のアルペジオ弾いたりしました。

お兄さんのアーム付きのギターも少しだけ貸してもらったりしました。

毎回新しい何かを見たりすると、

その度にとても欲しくなってしまう。


練習終わってからも、

スタジオの外で有名なリフを聞いたり、

弾いてもらったり、

音楽のジャンルについての話をしました。

そのうち、あっという間に12時近くに。

ラーメン食べに行こうということになりました。


お兄さんの車の前に車が止まっていて、

出れなそうでしたが、

なんとか脱出してラーメン屋さんへ。


朝からポカリしか飲んでいなかったけれど、

結局、替え玉まで奢って頂いてしまいました。

美味しいラーメンと楽しい話は最高です。

今度飲み行こうという話になり、

日程の調整を任されました。

お店はお兄さんが探しておいてくれるそうで、

とても楽しみです。


「最近、あんま人見知りせんくなったね」

って言われたのは、少しだけ嬉しかったです。

なるべく、人と関われるようになりたい。


食べ終わって、車の中で少しだけ話をしました。

プライドとか、自我が私から感じられない。

それは、音楽をやる上で、ある程度必要なものだよ、

ということでした。

言い換えると、こだわりなのかもしれない。

こだわりのない音楽には、核となる部分がない。

それは、空っぽです。

お兄さんや、お兄さんのバンドのボーカルさんは、

とてもそれが強いそうです。

それゆえ、衝突もあると聞きました。


私は、まだぶつかる事が怖い。

人見知りと違って、これを正すには、

もう少し時間がかかる。

まず、自分の思いに気づくところから、

少しずつ始めようと決めました。


今もなんだかあやふやに悲しい。

実態を伴わない感情。

海が見たい。