one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

寂しいのは誰しも

雨が降っている日。

雨音以外が雑音になってしまったように、

ただ、それだけを聞こうとしている。


バイト終わって、家に戻ると、

壊した時計を買ってくるように言われた。

時計の秒針の音、苦手すぎて投げて壊した。

隣の部屋にあっても聞こえる時は、

気になってしまうとどうしようもない。

絶対にデジタルのものを買うと決めた。

時計なんて大嫌いなので一番安いやつにする。

帰ろうとすると持ってきていた傘が無い。

似てる傘は見当たらないので、

多分取られてしまったんだと思い至る。

残りのお金で傘を買う気になれなくて、

普通に歩いて家に帰る。

時計は袋に入れて結んだから、

多分大丈夫だ。


雨に濡れながら、

歌を歌った。

歌詞は適当だった。

一番と二番入り交じってたりする。

歌い終わると、

突然、歩きたくなくなってしゃがみこんだ。

そしたらそのまま動けなくなって、

私はこのまま雨に溶けていくのかなと思ったりした。


携帯が光り、好きな人からリプライが来ていた。

私は静かに動き出して家に帰り、

濡れた服を洗濯機に放り、

自分を風呂に入れた。

リプライに返事をして、大丈夫だと伝える。

買ってきたものは弟が起きる時間にセットして、

弟の部屋に持っていく。

明日の朝、これに起こされるのだなぁと思う。


寂しいは、空白の感情だ。

寂しい時、理由とか、原因とか、

何かがある訳では無い。

何も無いことに気づいた感情。

無いところに、初めて生まれるもの。


私だけではなくとも、

ここに、このような形の空白を見つけたのは私で。

ほかの誰と共有できるわけではないから。

空白は、何も無いから、

それは誰かと、同じように見ることは出来ない。


だからそれもまた、空白。

自分とそのほかの周りにあるもの。


黒猫さんへ、

暖かい言葉ありがとうございます。

私はその言葉を、

真っ直ぐ受け取ることは出来ないけれど、

少し考えてみました。

そして、考えて文章化することは、

落ち着くのにとても良いことだと知りました。

誰もがさみしいのであれば、

個々の持つそれに

そこに触れ、癒すことは出来ずとも、

想像し合うことができれば。

それを薄めることにはならないが、

それらになんらかの意味は生まれるはずだと。


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