夜のこと
夜の考え事は、それはそれは重たく湿っている。
その湿ったものを絞れば、夜の藍色が流れ出すけど、
私はというと、そのもの自体を抱いて寝ているので、
白い服が、寝ている間にだんだんと藍色に染まってゆく。
洗えばまた白に戻ることを知っている私は、
何も気にせずそうしている。
誰も知らないこと、
誰かわからないけれど、ゆっくり話す人、
畳の部屋に敷かれた布団、
そこでまどろんでいる私と、
不安気な表情のその人がいた。
二人でトラックに乗って逃げ出した。
さあと言われて窓から飛び降り、
走り出す私に頷く。
何を意味するか全くわからない夢。
抱いていた考え事が、
私の腕をすり抜けて、
どんどん大きくなるのは、
こんな日にはよくあること。
火がついたように、
冷たい目線で不快感を露にする君。
一階から聞こえる、
動物のような怒鳴り声、金切り声、
私はゴミ箱になったような気分で、
さてと呟き、全てを忘れるために寝る。
そこで起きること、
それすら悲しく寂しいものだけれど。
何も知らない、そりゃよかったねと答えるよ。