one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

ゆらりふらり

バイトの後、友だちとお店の裏で煙草を吸った。

夕勤のおじさんから、友だちがもらったのを、

一本私も分けてもらった。

噛むとぷつりと何か潰れた。

面白くて何度もかんでみたけれど、

2度目はないみたいでした。

冷たい、すーっとするメンソール。

真冬の空気に、白く溶けだした。

代わりに私のアメスピ

一本友だちに渡した。

友だちは、いつもはハイライトメンソール。

ソフトパックだから潰れてしまうと嘆いてた。

ふわふわと白い煙が流れていく。

ため息混じりに吐き出す白色は、

遠くへ、見えなくなるように。


寒いねって言いながら、

二人でしばらくそうしていた。

もうすぐ今年が終わること、

なんとなく考えていた。

年末のテレビは面白いねって、

普段テレビを見ないはずの友だちが言う。

私が見る年末のテレビといえば、

海外の子供向けドラマの総集編とかなのだけれど、

そういえば今年もあっているのかな。

お笑いも、体調が良ければ見れるから、

面白そうなの予約しておこう。


夕勤のおじさんの煙草は、

細くて安定しない。


テレビ、友だちが見てるやつ、

少し見てみたいなと思う。


眠たい目をした友だちが、

ふらり立ち上がって吸殻を捨てに行く。

私も後に続いた。

お店の中には、酔っ払った大学生が何人か見える。

騒がしくてさみしい気分だな。


ゆらりゆらり今年が終わって。

ふらりふらり、私たちは家へ戻った。