one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

甘いフィルター

朝起きて、携帯をつけました。
友だちや、知り合いからの、
沢山のおめでとうという文字が表示されています。
私は一つ一つに返信をしながら、
今日が11月11日であることを、
寝不足の頭でぼんやりと認識しました。

今日も普通にバイトなので、
お昼頃、バイト先に向かいました。
友だちは、出勤してきた私を見るなり、
「おめでとー!」って言って、抱きついてきました。
外は寒かったので、暖かかったです。
今日は一応化粧もしていたのですが、
バイト先の人たちに顔色が悪いと心配されます。
元気な時に心配されてしまうと、
どうすればいいのか困ってしまいます。
レジからなんとなく夕日が見える頃、
なんとか仕事を終えて、
持ってきたギターケース抱えると、
ギターのお兄さんのいるスタジオへ行きました。
最近ずっと練習している曲は、
今日、なんとかサビまでたどり着きました。
隣のスタジオからは、女の人みたいな、
でも男の人の高い声が聞こえてきます。
ギターのお兄さんが買ってくださって、
二人でカフェオレ飲みながらお話します。
スタジオのアンプの上に缶を置いてテーブル代わりです。
お兄さんは今度、X JAPAN のコピバンするんだと、
とても楽しそうに話していました。
その時は、hideみたいに、髪まで再現するらしく、
もう絶対見に行こうと思いました。
スタジオから出ると、少しだけだけど、
好きなバンドの人たちと話せて、
とても嬉しかったです。
時計は十時過ぎを指していました。
私は途中のコンビニで、
お酒と煙草とおにぎりを買いました。
合計八百八十円。
少しだけ豪華な夜ご飯にします。
好きな人から返信が来ないので、
アメスピじゃなくて、キャスターにしました。
煙が甘くて、冷たい青色を白く濁していきます。
度数の高いものを、
一気に飲みすぎて、歩きにくくなりました。
道は銀杏の葉が黄色に染め上げていて、
街頭に照らされた所だけ、
明るく光っているみたいにみえます。
ふらつく足と、なんだか滲む視界。
ゆらゆらしている景色は夜の黄色の光。
甘いフィルターの名残を探しながら、歩きます。

帰っている途中、お兄さんから電話がかかってきます。
私は大きな橋の真ん中で止まって、
携帯から聞こえてくる声を聞いています。
そのうち、日付は一つ変わり、
今日が終わって、明日の空気を吸いました。

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