行方不明の終電
先日作った歌を、友だちに聞いてもらったら、
「○○(私の名前)みたいな歌だね」って言われた。
私みたい、私みたい、よくわからなかった。
私って、いつも周りに影響されてばかりだから、
バイト先のおじさんが行方不明になった。
行方不明というより、
連絡がつかなくなってしまったらしい。
優しい雰囲気の人で、こんな私のこと、
いつもニコニコしていて可愛いと褒めてくれた人。
周りの人たちは、シフトの穴埋めばかり気にしてた。
私はなんだかシフトじゃない所に穴が開いたみたいでした。
なんで、誰もおじさんの心配してないのかな。
人って、結構簡単にいなくなってしまえる。
それはいいことか悪いことか。
とりあえずみんなは、
ずっと、シフト調整の話ばかり。
少しだけ、怖くなった。
おじさん、元気にしているといいな。
家に帰って久しぶりに自傷とかした。
どんどんつまらない人間になるな。
ぼーっとしたまま外に出る、
私は、何年か前まで大きな木があった場所に行って、
想像の木の葉が揺れる音を聞いていた。
近くの線路を、多分終電が走っていった。
そういえば最近、好きな人が終電逃したりしてたの、
思い出して笑ってみたりした。
そのうち、想像の木はなくなっていて、
何年か前に切り取られてしまった後の、
まるで空っぽな場所になっていた。
線路にはもう一度電車が走っていて、
私はなんだか家に帰った。
帰る途中で、
寂しそうな危ない感じの人に話しかけられてしまう。
「あ…あ…」って、なんか話そうとしていたけど、
「分からないよ。何も分からないからね。」
って言って私は走った。
夜、ふらふらしてて、自分と似た人に会うと、
必ず、「あなたならわかるでしょう?」とか、
そんな事言われるので、
見かけたらまずそう言って走るようにしています。
何がわかるのでしょう。
もし分かっても、なんの意味もないことに違いない。
どうせ私たちは終電より始発で、
よくわからない場所へと、
ふわふわ行かなければならないのかもしれない。
一日の始まりにいらない人たち。
電車賃を持たない私は、家に戻ります。
部屋は金木犀の香りがします。
秋の名残のようで気に入っています。
いつか、起きていることにも飽きて、