one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

スノーマンのタオルケット

ギターのお兄さんから借りた、

ドクロのクッションと、

スノーマンのタオルケット。

どちらからも、仄かにお兄さんの香り。

香水なのか、洗剤なのか分からないけど、

すごく安心する。


Twitterを開けば金髪のお兄さんから、

私の無事を喜ぶリプが来ていた。

みんな、優しい人たち。

私のことを、変わってると言いながら、

避けたり、珍しがったりせずに、

一緒にいてくれる。


お兄さんから借りたタオルケット抱いたまま、

冷蔵庫を開けて、

金髪のお兄さんから貰ったメロンソーダを飲む。

ペットボトルの中では炭酸が下から上へ忙しそうに、

せわしなく動いている。

正午の太陽の光に透かしてみると、

緑色が薄く透明に近づく気がして、

持っているものが何なのか不安になる。

泡もひと粒ずつが形をもって光っていた。


ふと足元を見ると、

真っ白なパジャマの裾が、

かかとの方だけ黒くなっていた。

よく見ると自分の足も汚れていた。

裸足で歩いたりしたせいだった。

パジャマを洗濯機に放り込み、

足をシャワーで洗いながら、昨日のことを思い出す。

金髪のお兄さんから差し入れてもらって、

ギターのお兄さんのガムシロップまで入れて、

めちゃくちゃ甘くしたカフェラテとか。

お兄さん二人と一緒に食べたラーメンとか。

駐車場でたくさん話したことも。

自分の身を案じて注意してもらえるのが、

こんなに嬉しいことなんだって、初めて知ったことも。

全部思い出していたら、

起きて一人なのが寂しくて、

お兄さんのタオルケットとクッションを持ち歩く。


不安だらけなのに、

なんとか立っていられるのは、

ライブハウスに閉じ込められてる、

素敵な人たちのおかげだと思う。


みんな一斉にステージに手を伸ばす瞬間、

あの手が何を求めているみたいで、

少し怖いけど、綺麗な光景だと思う。

私も、閉じ込められてしまいたい。

ずっとここにいたい、そう思う。


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