one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

一年で忘れてはいけないこと

今日は、朝起きて、何を思ったのか、
前髪を斜めに切っていました。
丁寧に揃えて、綺麗に斜めになっています。
切り終わってから、私は何をしているのだと、
自分に驚きました。

ぼーっとしながら、とりあえず、
顔をばしゃばしゃ洗います。
水道からは、すぐに冷たい水が出てきて、
そういえば今日は涼しいなと思ったりしました。
タオルで顔を拭いて、もう一度鏡を見ました。
まぁ、今流行っているらしい、
アシメとやらになっているので、
そういうことにしようと思います。

前髪がこんなことになってしまったので、
とりあえず、ワンピースは似合わなくなりました。
私はクローゼットから、
真っ黒のパーカーとスキニーを選んで、
今日会う予定の友だちの家へ行きました。
靴も、リュックも黒いので、
地味なのに目立つ服装になりました。

友だちと外にいる時、
携帯の画面に、2時から会えるよと、
別の友だちの名前が浮かびました。
私は、会わなければならない気がして、
そちらに、四時頃向かいました。

私とその友だちにとって、
夏は、大切な季節です。
一番怖くて、ままならない。
近い人が、いきなり居なくなった。
だから、怖くて、会いに行きました。
絶対に、会わなければいけないのです。

私は、その友だちと会い、
普通に買い物へ行きました。
日用品を買います。
なぜかお揃いの靴下を買ってもらったりしました。
私はお礼にみかんゼリーを買いました。
妖怪ウォッチの被り物を2人で被ったりもしました。

家に帰ってから、LINEが届いていました。
何回かやりとりをした後、
電話に切り替えることになりました。
「今日で一年だよ」友だちはいいます。
私はカレンダーで日付を見ました。
「あぁ…そうだね」答えました。
私たちが、自分たちの空洞を、
目の前に突きつけられた日でした。

私たちにとって、
目を閉じる夏の日は、
終戦記念日や原爆の投下の日ではなく、
この日でした。

私は、一番近い感情を持ってたと思います。
友だちは、中学の頃からの付き合いでした。
そして二人とも、見ていました。
最後の文章、今でも忘れられません。
そして、私はきっと大丈夫だと、
今度会ったら、薬分けてあげようと、
そのくらいに思っていました。
友だちは、その時、
適当な言葉が見つからなかったのかもしれません。
そして、結局私たちは何もしなかった、
できなかった。

まだ、一年しかたっていません。
でも、一年たってしまいました。
これは、怖いことです。
でも、当たり前なんだそうです。

私たちは、一年前から、何も変わっていません。
死にたい、とか、死ぬ、とか、
何度も言います。
二人で三十歳までに死ぬと話したりもしています。
あえて、死に敏感にならないようにしました。
私は、挙句自殺未遂までしていたりして、
なにも学んでいません。
残されるものの悲しさも、
全く配慮する気などありません。
そのくらいの悲しさ、
なにもできなかったんだから、
それくらい背負うべきなのかなと思います。
重くて、重くて、潰れてしまっても、
そこにあるべきです。

私は、学びはしませんでした。
でも、忘れもしませんでした。
学ぶだけ学んで、忘れているような人は、
学ぶ資格すらないように思います。

一年。
この月日で、忘れてはいけない。
ただ、学ぶこともない。
私も友だちも、不安で、今日、
お互いに電話した。
これは、きっと正解だと思います。
こんなふうに、こうあることしか、
まだ、できない。
目を閉じるかわりに、
少しの思い出話を。