one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

シロクマとかき氷

今日は、中学校の同級生と、

近所のファミレスで会います。

三時に約束していたのに、

起きたのが一時過ぎていたので、

私は急いで家を飛び出しました。


お店の中はいつも、

寒いくらいにクーラーが設定されていて、

かき氷なんて頼んでみると、

北極のシロクマみたいな気分になれます。


暑い夏は、少しシロクマに憧れます。

私も、死んじゃうくらい冷たい、

真っ黒な海の中を、

真っ白をかざして、

ゆらりゆらりと泳いでみたいです。

そしたら、きっと、とっても寂しくて、

でも、きっと何者よりも強くなったように、

思えるのかなと、想像してみます。


友だちふたりと私は、

結局かき氷ではなく、

パフェや唐揚げを食べています。


甘い、溶けるアイスを、

細長いスプーンで口に運びながら、

近況を話し合います。


私はしばらく、友だちの金色の髪が、

お店の照明で透けているのを、

あまりにも綺麗なので見とれていました。


みんなで分けっこして食べた、

フライドポテトはとても美味しかったです。

少し塩辛いそれに、

ケチャップまで付けて食べるのは、

もはや何を食べているのかわからなくて、

なんだかとても楽しいです。

しばらく話続けて、

また会おうねと約束して、

夕方にはさよならしました。


私は一旦家に帰って、

コンビニへ行きました。

その間、本当は良くないけれど、

ため息に白い色をつけて歩きました。

横目で見た夕焼けは、

ちょっと暴力的に真っ赤で、

どきりとしてしまいました。


帰り道は、真っ白なビニール袋に、

ジュースと憂鬱詰め込んで、

ぶんぶん振り回しながら歩きました。


明日は、週に一回のスタジオ練習の日です。

買ってきたジュースの水滴で、

床を濡らしながら、ギターを練習します。

歪ませた音のギターは、

ぎゅいんぎゅいんと響き、

私の部屋を少し賑やかにしてくれました。

賑やかになったのに、

一層寂しく感じられました。

長袖を着ているのに、

鳥肌が立つほどに寒いです。

私はよく知っています、

これはどうしようもない類のものです。


布団の中でうずくまって、

過ぎ去るのを待ちます。

その間に、眠ってしまえたなら、

ラッキーです。

ついでに

最近効かなくてラムネ状態の睡眠薬を三つ、

ゆっくりと味わいながら、

私はきっと今、シロクマになって、

泳いでいるのかもしれません。