one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

映画館の不思議

今日はお昼頃になんとなく起きて、

庭になっているミニトマトを取ってきて、

食べてみました。

夏の味、とても美味しかったのですが、

取りに行くのが暑いので、

おかわりするのは諦めました。


夕方になると弟たちが、

映画に連れていって欲しいというので、

兄弟で久しぶりに出かけました。


私はよく、

映画館からでられなくなってしまうという、

なんとなく怖い夢を見ます。

それは古い、赤とオレンジの映画館で、

中には、何やら古そうなポスターが、

所狭しと貼ってあるのです。

小さな映画館ですが、

中にはいくつかのホールがあり、

いつでも複数の映画が上映されていました。

私は出られないので、

次から次に、

違うホールへ入って、

色々な映画を観るのです。

しかし、何度夢に見ても、

見ている映画の内容は思い出せないのです。

ミントと眼鏡とおじさんが、

出てきていたような…でも、

話の内容は、ちっとも覚えていない。

そんな夢です。

私はこの夢を、立て続けに見れば、

もう次の夜は寝ずに徹夜をするほど、

この夢が苦手です。

ですから私は、誰かに誘われるか、

よほど暇しない限り、映画館に行きません。


この夢を見るようになる前、

小さな頃に一度行った映画館の記憶も、

あまりいい思い出では、

ないからかもしれません。


小さな私は、映画を観る前に、

ポップコーンが食べたいと、

両親にねだったのです。

周りの、私と同い年くらいの子たちは、

カラフルなポップコーンの箱を、

大切そうに抱えています。

しかし、その時私は、

全く取り付くしまもなく断られ。

果には映画すら見せてもらえなくなる、

そんな勢いで怒られました。


私は、なんとなくそのことを思い出し、

丁度その時の私と同じ年頃である弟を見て、

人数分のポップコーンを買おうと決めました。

そして、それをみんなに渡せば、

なんだか、

小さい頃の自分に買ってあげたような、

そんな勘違いができる気がしたのです。

それできっと、また思い出して、

悲しくなったりはしないはず、

そう思いました。


わたしは映画館についくと、

自分はチケット売り場に並び、

弟たちにお金をもたせると、

ポップコーンを買っておいでと伝えました。


私が人数分のチケットを取り終えた頃、

また、弟たちも買い物を終えたようでした。

ポップコーンを抱えて走ってくる、

兄弟の顔を見ながら、やはり、

少し救われたような気持ちになりました。


夢の中と同じ、真っ暗な中に、

ぼんやりと非常口が示さるているホール。

少し怖くなりましたが、

甘い甘いポップコーンを口に放り込んで、

大丈夫なことにしました。

家を出る前に飲んだレキソタンだって、

まだ効いているはずです。


しばらくすると、

ふっと目の前が明るくなりました。

映画の予告編が流れ出します。

そういえば、

夢の中でも、予告編はやっているのかなと、

思ったりしました。


二時間ほど座っていると、

周りの人がザワザワと動き出し、

帰り始めます。

わたし達も帰ることにしました。


家に帰ってから、電話で友だちと、

遊ぶ予定を話し合いました、

二人とも優柔不断なので、

結局なにも決まらないまま、

またね、と言ったりしました。

先日話していた集合写真は届いたようで、

私にも送ってもらいました。

写真の中の私は、

ちゃんと元気に笑えていて、

よかった良かった、って思いました。

撮ってくれた人、削除せずに、

残してくれているのか、

それともさっさと消してしまっただろうか。

確認しようもないことを、

写真を見ながら考えました。


密かに楽しみにしていた流星群は、

雨で見れないようなので、

今日も早く寝れればいいなと思います。


もし今日映画館の夢を見たなら、

出口を探せそうな気がしましたが、

案外まだ迷ってしまいそうでもあるので、

見たくないなと思います。