one room

忘れたくないことと、忘れてしまったことについて

真夜中コンビニ

古い今日が終わってしまって、
新しい今日が来ました。
まだ眠れません。
昨日というには、まだ身近に感じている、
そんな感じです。
そのうち遠くなって、見えなくなって、
昨日になってしまうのだとおもいます。

薬も飲んだはずなのですが、
サイダーとかで飲んだのが、
やはりいけなかったのでしょうか。
今度からは先生に言われたように、
白湯とか作ろうかなと悩みます。

眠れないので、
扇風機をペットのように傍にして、
Twitterを開きました。

「彼氏と遊んできたよー!」
「飲みなうっ」
「仕事終わらないー><」
「今週遊べる人ー?」
「悲しいよぉ」

知ってる人、知らない人、友だち、
色んな人の、様々な言葉が、
それぞれ明確な意志を持っていて、
少しくらくらしてしまいます。
あてられてしまった、のかもしれません。

くるくると画面をスクロールします。
すると、一分前と表示されている、
「誰かー、電話しよー」という
どうやら同じく眠れないでいるらしい、
友だちのツイートが見えました。

私は誰かと電話するのがとても好きです。
あの、電波とか、
そんな全然見えないものでつながって、
背中合わせのような、
顔を見なくても、
暖かい感じが分かるのが、
なぜだかとても安心するのです。

「電話しよー!」
見えない画面の水面に、
私の言葉がぷかり浮かび上がります。
しばらくすると、ぴかりと携帯が光り、
「じゃーかけるねー!!」
という友だちの返事が届きました。

そして、扇風機の羽が100回転した頃、
電話がかかってきました。

「もしもしー」友だちの声、
「やっほー」私の声、
全部が近いようで遠い、
距離感がおかしな安心に包まれます。

なかなか送られてこない記念写真のこと、
そして、それが実は、
ピンボケしているんじゃないかってこと、
ギターの先生をしてるお兄さんから聞いた、
なんだかとても良さそうな洗顔方法、
周りの人から勘違いされてしまっていて、
少し困った笑い話。
昼間に見たオカルト板の怖い話、
家出計画、
色んなことを話します。
途中で友だちに、漫画のNANAに出てくる、
ハチに似ているねと言われました。
私は常々その友だちを、
ナナに似ていると思っていました。
二人とも大好きな漫画でした。
どこが似ているのかと問うと、
途中まで何やら聞こえたのですが、
結局全てを教えてはもらえませんでした。
私は、ハチのようにあちこちに揺れたり、
そこまで料理が得意な訳ではないので、
理由は、いつかまた、
聞いてみたいと思いました。

友だちは途中でベースを弾き始めました。
低音の、低く、暖かい音が聞こえます。
私もギターを取って弾きました。
電話越しの練習です。
私たちの音は、電波のせいで、
揺らめいたり途切れたり、少し遅れたり、
ゆらゆら繰り返しながら聞こえてきます。

気付けば時計は四時近くを指していました。
友だちは五時半起きだと笑っています。
これではどうやら、
一時間半しか寝れないねと笑いながら、
「おやすみー」と電話を切りました。

私はなんとなく寂しくなって、
財布だけ掴むと、
もう少しで日が昇る空を見上げて、
うっかり憂鬱になりながら、
近所のコンビニへ向かいました。

そして買ってきたものはそのままに、
ベッドにすら登らず、
少し冷たくなっている床の上に、
毛布を引っ張り下ろすと眠りました。

お昼を大分過ぎた頃、
なんとか私は目を覚ましました。

携帯を手繰りよせると、
メールがとどこいていました。
黒猫さんからのコメントでした。
私はどうにか返信しようとしましたが、
どうしても方法がわかりませんでした。
わからなかったので、
とても嬉しかったですと、
ここに書いてみます。

そういえば、
今日は買い物をすると決めていたので、
のそのそと服を選んで、外に出ました。

本屋さんへ行きます。
「ぱらいそ」という本が欲しかったのですが、
置いていないようでした。
こうなると、遠くにある、
大きな本屋さんへ行くしかありません。
どうしても読みたくて、
そちらへ出かけました。
なんとか本を買うことができました。

次はスーパーでご飯を選びました。
梨がとても安かったので、
2つ、買うことにしました。
それから、石鹸を買いました。
今日の帰り道は、
バックがとても重くなっていましたが、
全て大好きなものばかりなので、
全然気になりませんでした。

家に帰って、梨を食べたあと、
さっそく買ってきた本を読みました。
一旦時間をおいて、明日、
もう一度読み返してみようと思います。
本棚にすぐに立てておくことができない、
そんな感じがします。
心のどこに、この本をしまうのか、きっと、
まだ決めかねているからだと思いました。

とりあえず、暑さがおさまったので、
ギターを抱えて、
半音ずつの練習をしました。
指が早く開くようになればいいと思います。
Hi-standardの曲は、
まだ全然弾けないのに、
聞いていると、なんでも弾けそうな、
そんな気がするので不思議です。

友だちとか、
ギターの先生とか、
好きな人とか、
弾けるようになったら褒めてくれる人が、
沢山いるので、頑張りたいと思えます。

少しして疲れたので、
休憩しようと思いました。
ギターを弾くのをやめると、
下から、大きな音と、
聞きたくない声が聞こえてきます。
もはや人間の出せる声ではないようなので、
私の家は、いつの間にか、
化物でも飼い始めたのかもしれません。

私はイヤホンを耳につけて、
一番大きな音で、好きな曲を聞きました。
自分の道は、自分で決めるぞ!
みたいな意味のことを歌っている歌だと、
確かそんな風に教えてもらっていました。

私は英語が得意ではないので、
聞こえてくるのは音としての声と、
たくさんの楽器の音だけです。
それでも、少し元気になれそうな気がして、
実はこの曲が、
世界を呪ってる歌だったとしても、
私は教えてもらったとおりの歌だと、
信じていられるように思いました。

イヤホンを取って、
うるさい声を聞きながら、
デパスを口の中に放り込んでみました。

しばらく絵を書いて、
気が向いたら、
昨日よりも一粒増やしたハルシオン飲んで、
早く眠ってしまいたいと思います。